【大学受験生向け】薬学部での生活
こんにちは。
薬剤師Tです。
今回は、私が薬学部でどのような生活を送っていたのかを書いていきたいと思います。
よろしくお願いします。
はじめに
細かい部分は大学によって異なってくるとは思いますが、基本的には同じ部分が多いと思います。
ですので、薬学部に入ろうとしている方はどのような学生生活が待っているのかを想像しながら見てください。
普段の勉強について
まずは、勉強の話からしていきましょう。
簡潔にまとめるなら、「薬学部は勉強三昧」です。
とは言っても、四六時中勉強しているわけではありません。
おそらく、毎日授業の予習復習をしている人は少数派です。
私の周りでは、基本的に定期テストの1か月前くらいから勉強を始める人が多かったです。
では、なぜ勉強三昧という言い方をするのかというと、それは時間割に自由がなく、毎日朝~夕方ぐらいまでは講義があるからです。
大学生活でよく思い浮かぶのは、自分で取る講義を決めて、時間割をある程度調整しバイトや遊びに時間を割くという、自由さだと思います。
しかし、薬学部にそれはありません。開講されている講義のほとんどを取らなければいけないです。
そのため、半日休暇などは生まれにくく、バイトや遊びは夕方まで講義を受けた後にするか、休日を使うしかないです。
こういう点もあり、授業以外の時間を勉強に使いたいと思う人はあまりいないです。
薬学部の講義について
薬学部の講義は学年を上がるにつれて、どんどん医療というものに深く絡んできます。
逆に、入学してすぐのころは化学や生物、物理などの勉強をします。
そのため、薬の勉強しないじゃんと最初のころは感じると思います。
さらに、講義では薬剤師国家試験に出題されるレベルよりも遥かに高い内容や、国家試験の範囲外の内容を教授は講義してきます。(もちろん範囲内のこともやりますが…)
これは、大学という場で勉強しているので、当たり前ではあります。
薬学部は薬剤師国家試験のための予備校ではないということです。
しかし、すぐに薬について勉強できると思っていた私はかなりモチベが下がってしまいました。
ですが、レベルの高い問題を一度でも解いておくことは、後の薬剤師国家試験の勉強で確実に役に立ちます。
もしかすると、私と同じようにモチベが下がってしまう人が出てくるかもしれませんので一応言っておきますが「あなたの勉強していることは無駄にはなりません」。
では、薬について学ぶのはいつからでしょうか。
薬の作用について学び始めるのは大体2年生の後期ぐらいからだと思います。
いわゆる薬理という科目です。
そして、薬学生はこの薬理という科目に苦しめられます。
薬理は薬の作用について理解する科目ですが、具体的にどのようなことを学ぶと思いますか?
ほとんどの人が、「ロキソニンは痛み止め」みたいなことを学習すると思っているのではないでしょうか。
これは、確かに間違いではありません。
しかし、正確には、「ロキソプロフェンはプロスタグランジン生合成の律速酵素であるシクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害し、プロスタグランジンの産生を抑制することにより、抗炎症作用、解熱作用、鎮痛作用を現す。」ということを学びます。
他にも「ロキソプロフェンはプロドラッグであり、胃腸障害が少ない。」ということも学びます。
(ロキソニンは商品名で、ロキソプロフェンは成分名です。薬学部は商品名ではなく、成分名で薬を覚えます。)
おそらく何言っているのかわからないと思いますが、このような細かいことを覚えなければならないということは知っておいたほうがいいと思います。
単純に薬の種類分けを勉強するのが薬理ではなく、薬が体内でどのように働いているのかを細かく学び、時にそれが体にどのような悪影響を与えるのかを学ぶのが薬理という科目です。
そして、それゆえ暗記量は膨大なものとなります。
これが、薬学生が薬理に苦しむ理由です。
また、薬以外にも学ぶことはたくさんあります。
例えば、人体の構造などは知っておく必要がありますし、病気についても知っておかなければなりません。
この辺りなら、学ぶ理由は想像は付きやすいですよね。
その他にも、水環境(排水、水道の塩素消毒とか)、大気環境(大気汚染とか)も学ぶ必要があります。
なぜだかわかりますか?
例えば、水の浄化にも薬品を使うわけです。
この薬品を適正に取り扱うには、どの職業に相談をするべきでしょうか?
もちろん薬剤師ですよね。
このように薬剤師が関わるべき分野というのは想像以上に広範なのです。
また、法律についても勉強します。
薬剤師というのは薬剤師免許という許しをもらって仕事をするわけです。
ですので、その許しから逸脱した行為をしてしまうとダメなわけです。
そのため、法律を理解し、してはいけないことをしないように努めなければなりません。
長くなってしまいましたが、薬学部では薬のこと以外にも様々なことを学ばなければいけないことをわかっていただけたでしょうか?
そして、薬についても想像以上に様々なことを学ばなければいけないということが分かったと思います。
しかし、これらのことを苦労して学ぶ価値はかなり高いと思います。
何より、薬というものについてここまで詳しく学べるのは薬学部の魅力だと思います。
薬学部の定期テストについて
定期テストは1年に2回(夏と冬)行われるのが普通です。
基本的に合格点は60点であることが多いと思います。
高校までは、いわゆる赤点はもっと低い点数だったと思いますし、赤点を下回ったことが原因で留年する人はほとんどいないと思います。
しかし、大学では60点を下回った瞬間、「不合格」という無慈悲な通知が来ます。
そして、この不合格が複数あったりすると、その瞬間留年が決定し、もう一年同じ学年をやり直しになります。
大学によっては、定期テストで60点未満をとっても救済措置を施してくれる場合があります。
基本的には再試験という制度で、もう一度テストを受け、そのテストで60点を取れれば合格にするというものです。
場合によっては、レポートの提出などで許してくれる先生もいます。
また、再試験に落ちた場合でも進級して翌年度にもう一度試験を受けれる場合があります。(これを再履修と言います。)
しかし、再履修の場合、「進級した学年の勉強+再履修の勉強」をする必要があります。
単純に他の人よりも勉強しなければならない科目数が増えるわけですので、この制度を使うのは得策とは言えません。
また、薬学部の定期テストは過去問が重要になってきますので、友達は作っておいて過去問集めはできるようにしておきましょう。
特に、過去問から問題をほとんど変えない先生もいるので、情報収集はしっかりしましょう。
勉強以外にしたこと
これが、一番聞きたいことなんじゃないかなと思います。
講義は忙しいですが、趣味の時間は十分とれます。
私はいろいろなことに手を出してみました。
手品を始めたり、作曲を本格的にしてみたりしました。
サークル活動も、手品のサークルに入り、実際にショッピングセンターのイベントブースを借りてお客さんに実演もしました。
お酒なども飲んでみたりしました。
そのせいで、今も酒をよく飲むようになってしまいました。
タバコは吸ってなかったのですが、後輩には吸っている人がいました。
また、麻雀を友達としてみたりなど、いわゆる大学生のような生活はある程度しました。
また、アルバイトも可能です。
私の友人にはいわゆるバイト戦士のような人も数人いました。
ほぼ毎日のようにバイトしているけど、私よりも成績のいい人もいたので、そこは各々のがんばり次第かなと思います。
しかし、実験の実習が始まると、なかなかバイトは入れにくくなります。
実験は終わる時間が日によって変わることが多いです。
そのため、バイトのシフトは組みにくくなります。
その他にも、資格を取得している人もいました。
多いのはTOEICだと思います。
将来、薬局の開業とかをしたい人は簿記の資格とかもありなのかなと思います。
研究室配属について
研究室への配属は、大体4年生の終わり頃になるのではないでしょうか。
薬学部を卒業するには、卒業論文を書いて薬学学士の課程を収める必要があります。
その卒業論文のための研究をするのがこの研究室です。
そして、5,6年生のほとんどをこの研究室で過ごすことになるので、研究室選びは重要になってきます。
簡単にですが研究室選びの基準を書いておきます。
①ホワイトな研究室であるかどうか
研究室によっては土日を献上してまで研究をしなければならないところや、研究室に泊まり込みをして数日間家に帰らず研究をするようなところもあります。
もちろん研究が好きでそのような環境でもやっていけるという人はそれでもいいのですが、私は精神衛生上、そのようなブラックな研究室はお勧めできません。
そのため、同級生や先輩からどこがホワイトな研究室かをリサーチしておくといいと思います。
②友達が多い研究室であるかどうか
友達と一緒の研究室に入るのは、王道ではないでしょうか。
友達と仲良く研究できれば多少ブラックな研究室でも我慢しやすいと思います。
デメリットとしては人脈が増えないことでしょうか。
研究室で初めて出会う人が減ってしまうのは少しもったいないことだと思います。
③自分の興味のある分野の研究をしている研究室であるかどうか
研究にすべてをささげる気がある人はこの選び方をお勧めします。
特に、大学院に進学する人や将来研究職に進みたい人にはお勧めです。
しかし、基本的には①や②で研究室を決めるのがいいと思います。
こう言うと少し不真面目なように聞こえるかもしれませんが、私は大真面目に言っています。
なぜなら、ブラックな環境に耐えきれず体調を崩したり、病んでしまう人は一定数いるからです。
特に研究室で病んでしまうと、その後の卒業研究、卒業試験、薬剤師国家試験などが全てうまくいかなくなってしまう可能性があります。
では、ブラックな研究室に配属されたらどうすればいいのか。
これは、1年ちょっとの付き合いだと考えて諦めるしかないと思います。
コツは、その研究室内の人と仲良くなって苦労を共に語り合うことです。
中には研究室の先生にうつ病の診断書を突きつけ、研究室を変えた人もいるらしいですが、なかなかそこまでできる人はいないと思います。
そして、万が一病んでしまったら、しっかりとそのことは指導教員や信頼できる人に相談しましょう。
さいごに
まだ、書けることはいろいろあると思いますが、今回はこの辺りで終わりにしたいと思います。
少しネガティブなことを書きすぎた気もしますが、できるだけリアルに書くことを意識しました。
何か、聞きたい話題等ありましたらコメント欄へ書いていただければ、お応えできるかもしれません。
それでは、また次回にお会いしましょう。