薬剤師Tのあれこれブログ

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【薬学生必見】薬剤師国家試験勉強法①

薬剤師国家試験の勉強法について、解説していきたいと思います。
少しでも薬学生の皆さん、もしくは将来薬学部を目指している方のお役に立てれば幸いです。


今回は、薬剤師国家試験ではどのくらい点数を取ればよいかについて書いていきたいと思います。

 

 

 

はじめに


まずは、私が合格した時の成績をご覧ください。

 

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こんな感じです。よくもなく悪くもなくといったところでしょうか。
この画像にも書いてある通り、薬剤師国家試験は1問2点換算です。
つまり、今回の薬剤師国家試験では344問(688点)が不備なく出題されたということです。


ここで、薬剤師国家試験に詳しい方なら「あれ?」と思ったかもしれません。
そうです、薬剤師国家試験で出題される問題は345問(690点)のはずです。


あと1問どこに行ったかというと、いわゆる廃問です。
問題に不備などがあり、採点をしない問題のことですね。
ここで何が言いたいかというと、「薬剤師国家試験では、廃問はほとんど出ない」ということです。


学生の方ならわかると思いますが、自分が間違えた問題が廃問になると、その分点数が上がり嬉しくなるものです。
しかし、薬剤師国家試験ではそのようなことはほとんど起こらないです。
そのため、確実に合格点以上をとるだけの勉強量が必要になってきます

 


合格点について


では、薬剤師国家試験の合格点は何点なのかが重要になってきます。
基本的には、225問(450点)を目指して勉強するのがいいです。


過去の薬剤師国家試験の合格点の推移をみていきましょう。

 

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こんな感じです。
見てわかるとおり一番合格点が高かった年が225問です。
基本的にはこの点数は越えないであろうと予想されていますので、この点数を目指して頑張りましょう。

 


点数配分について


自分で言うのもなんですが、私の点数の取り方が比較的王道だと思います。


簡単に書きますと、

必須問題…8割以上(144点以上)
理論問題…5.5割以上(115点以上)
実践問題…6.5割以上(194点以上)
-----------------------------------------
計 453点/690点


これで、目標の225問(450点)に到達できます。
では、必須問題、理論問題、実践問題に分けて解説していきます。

 


必須問題


結論から言うと、必須問題を8割取れない人は、国家試験に受かるのは難しいです。
なぜなら、必須問題で他の問題(主に理論問題)の失点分をカバーする必要があるからです。
詳しく見ていきましょう。


必須問題は180点満点(全90問)、合格点は126点以上です。
つまり、ここで126点に足りなければ、最終的な合格点を超えていても不合格となります。
また、科目ごとにも合格点があり、一つでも落とすと不合格となります。


それぞれの合格点は以下の通りです。

物理・化学・生物…10点以上/30点
衛生…6点以上/20点
薬理…10点以上/30点
薬剤…10点以上/30点
病態・薬物治療…10点以上/30点
法規・制度・倫理…6点以上/20点
実務…6点以上/20点


つまり、どれか一科目でも3割を切ると不合格ということですね。
これは、覚えておかなければならない点だと思います。
なぜなら、必須問題レベルでは、捨て科目を作ってはいけないということだからです。
そのため、苦手な科目でも必須問題には答えられる知識は身に着けておきましょう。


では、126点取れればいいのかということですが、結論から言うとNOです。
180点のうち7割を取ることで126点に達しますが、必須問題では最低8割(144点)くらいの点数は欲しいところです。
それは冒頭にも書いた通り、他の問題の失点をここで補う必要があるからです。
また、必須問題レベルの問題を8割取れる知識がないと、理論や実践問題の点数も目標より低くなる可能性が高いです。

 


理論問題


理論問題は、正直難しい問題が多いです。
ですので、目標は5.5割とかなり低めに設定してあります。


理論問題のポイントは、捨て科目を作ってもいいです。
詳しく見ていきましょう。


理論問題は最初に言ったように難易度が高いです。
特に、物理・化学・生物がかなり難しいです。
ですので、物理・化学・生物については捨て科目でいいと思います。


しかし、適当に選んでマークしてはいけません
消去法で解けるものや、時には明らかに正解になるものが潜んでいます。


例を紹介しましょう。
106回薬剤師国家試験の問100、物理の問題です。

 

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どうですか?解けましたか?
文章が長く飛ばしてしまった人は要注意です。
本番で同じことをしないように。


国試解説のサイトではないため、簡単に書きますが。
消去法の視点から考えると「イ」の選択肢から考えたほうがいいです。
Kが大きいほど親和性が高い(吸着しやすい)という文から、k1が大きいほどKが大きくなることがわかります。
k1が吸着で、k-1が脱着の速度定数ですからね。
つまり、分子にk1があるもの(選択肢1,3,5)が正解になります。
この時点で6択から3択に絞り込むことができています。


このようにして、少しでも正解できる確率を上げるというのを意識しながら解きましょう
ちなみに、正解は「5」です。


さらに、付け加えると理論では時間との勝負になることが多いです。
特に計算問題が多くなると、時間の余裕は少なくなります。
人によっては見直しが十分にできなかったりもします。
そのため、一つの問題で考えすぎず、次の問題へ進むといった思い切りの良さも重要になってくると思います。


この辺の、捨てる問題や拾う問題のチョイスは個人の得手不得手で変わってくるので何とも言えません。
そのため、模試などを用いて、考えれば解けそうかどうかをかぎ分ける嗅覚を養っておくといいと思います。

 


実践問題


実践問題は、問題ごとの難易度にバラツキがあります。
難しい問題もあれば簡単な問題もあるといった感じです。
特に常識的に考えれば解けるような問題も多く出題されますので、そのような問題を間違えないように注意しながら解きましょう。
目標は6.5割です。


では、ここで一問。
106回薬剤師国家試験の問335、実務の問題です。

 

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正解は「4」です。
どうでしたか?おそらく多くの人が正解できたかと思います。
なぜこの問題を出したかというと、私が本番で間違えてしまった問題だからです。


普通に考えれば解ける問題ですが、なぜ間違えたのでしょうか。
薬剤師国家試験は、2日通しての試験ですので、実践問題にたどり着くころには疲弊しています。
そのため、「誤っているものを選べ」や「1つ選べ」、「2つ選べ」といった問題文中の指示を読み飛ばしてしまったのです。
私は、幸運にも余裕をもって合格できましたが、この一問が原因で不合格になる可能性もあったわけです。
ですので、くれぐれも皆さんは見直しをしっかりしましょう

 

 

禁忌肢について

薬剤師国家試験には禁忌肢というものが設定されています。

禁忌となる選択肢を一定数以上選ぶと、その時点で不合格になるというシステムです。

 

基本的にですが、禁忌肢は一般的な常識があれば選ばないと思います。

実践問題のほとんどの人が解けたであろう問題を間違えた私でも、禁忌肢の選択数は0問でした。

ですので、必要以上に禁忌肢を恐れる必要はないです。

 


合格率について


合格率に関しては、あまり気にしても仕方ないと思いますが一応触れておきます。


突然ですが、問題です。
Q,次の中で一番合格率の低い国家試験はどれでしょうか?

①医師国家試験
②薬剤師国家試験
③看護師国家試験


まぁ、問題出すくらいなのでわかると思いますが、答えは②。
そうです、薬剤師国家試験が一番合格率が低い試験となります。


参考までに、2021年実施の国家試験の合格率を比較すると、

医師国家試験…91.4%
薬剤師国家試験…68.66%
看護師国家試験…90.4%

となります。


薬剤師国家試験は、他の二つの国家試験と比較しても合格率は低く、比較的落ちやすい試験といえます。
ですので、しっかりとした試験対策をしましょう。

 


大学による合格率の差


また、大学によっても合格率に大きく隔たりがあります。
106回国家試験においては合格率一位が医療創生大学の95.92%、最下位が第一薬科大学の31.46%です。

 
参考までに、

medical.nikkeibp.co.jp


ここで言いたいのは、自分のいる大学の合格率をしっかり把握しておくことです。
特に合格率の低い大学の人は、「友達が余裕そうだから、自分も大丈夫だろう。」と慢心せず、しっかりと勉強をすることをお勧めします。


また、薬学部を目指している受験生は、偏差値だけでなく薬剤師国家試験の合格率から大学を選ぶのもいいかもしれません。

 


さいごに


今回は、薬剤師国家試験ではどのくらいの点数を取ればよいかについて書きました。
結局は、どの大学を卒業しようが国家試験で合格できるかは各々の努力次第です。
今回は目標を225点としましたが、余裕をもって受かりたいならもっと上を目指すべきなのは言うまでもありません。
そのため、今の学力に慢心せず、勉強に取り組んでもらえたらなと思います。

 

次回は、参考書選び等について書きたいと思います。
最後に、皆さんの国家試験合格を心よりお祈りいたします。